• 江戸を学び、江戸で遊ぼう

    zoujyouji_01


     増上寺は、浄土宗の七本山(※)の1つです。明徳4年(1393年)に創建されました。当時は、今の場所とは異なり、現在の千代田区紀尾井町辺りにありました。ところが、家康が江戸入り後の慶長3年(1598年)、江戸城の拡張に伴い、今の場所に移転させられました。その後、徳川家の菩提寺となり、隆盛を極めました。
     明治以降は、廃仏毀釈や大火や戦災など不遇な時代がありましたが、昭和46年(1971年)に復旧が始まり、昭和49年(1974年)には大殿の再建も行われ、今日に至っています。


    ※浄土宗の七本山
    ・増上寺(東京都港区)
    ・光明寺(神奈川県鎌倉市)
    ・善光寺大本願(長野県長野市)
    ・金戒光明寺(京都市左京区)
    ・知恩寺(京都市左京区)
    ・浄苑華院(京都市上京区)
    ・善導寺(福岡県久留米市)


    名所江戸百景…増上寺塔赤羽根、芝神明増上寺

    edo100_50


     増上寺は、広重の「名所江戸百景」50番目の「増上寺塔赤羽根」に登場します。増上寺の塔は、今はありませんが、今のプリンスホテルの「ザ・プリンス パークタワー東京」付近にあったとされています。その五重塔の後方から、現在の赤羽橋交差点方向を見下ろした構図になっています。



    edo100_80 また、「名所江戸百景」では、80番目の「芝神明増上寺」でも取り上げられています。 後方の増上寺の門から出てきた観光客らしき団体と修行僧たちを描いています。それにしても前方の観光客と思われる団体は、楽しそうですね。




    JR浜松町、浅草線・大江戸線大門からの行き方


    zoujyouji_02


    zoujyouji_03 JR浜松町 北口を出て左方向を見ると東京タワーが見えます。そちらの方向にとにかく真っすぐ歩いていくと、車道上に「増上寺」の赤い「大門」が見えてきます。ここを潜り抜け、さらにまっすぐ歩いていくと「増上寺」の「三解脱門」に到着です。約10分弱の行程です。また、JR浜松町と隣接している浅草線・大江戸線大門からの行き方も同じです。そう言えば、「大門」の脇には、いかにもといった趣のトイレもあります。
     なお、三田線の「御成門」や「芝公園」からも近いです。ちょうど、両駅の中間あたりに「三解脱門」があります。


    三解脱門


    zoujyouji_04


     東日本で最大級の大きさの門です。元和8年(1622年)に建てられました。火災や戦災など数多くの災害に見舞わた増上寺で、唯一江戸時代から残る建造物です。三解脱とは、「むさぼり」「いかり」「おろかさ」の3つ煩悩からの解脱を指します。私もこの門をくぐる都度、「そうありたいな~」と願いますが、なかなか難しいですね。
     また、門の上の2階の部屋には、釈迦三尊像や十六羅漢増が安置されています。江戸時代は、正月や彼岸などに公開されていたそうですが、現在では、数年に一度公開するのみとなっています。


    大殿


    zoujyouji_14


     三解脱門をくぐると、正面に増上寺の本殿が見えてきます。三解脱門に負けない、威風堂々とした大殿です。その右肩には、東京タワーがデ〜ンと構えていて、過去と現在が同居した、とても良い構図になっています。広重が現在にいれば、取り上げていたかも知れませんね。
     大殿までは、少しずつ傾斜があり、階段となっています。その段数や距離も、それぞれ意味があり、25菩薩などを表しているとのことです。この広場、かなり面積が取られているのですが、江戸の頃は、もっともっと広大な敷地に120ものお堂、そして3000人もの学僧がいたということです。徳川家の菩提寺とは言え、凄い規模だったのですね。
     大殿は、昭和49年(1974年)に再建されたコンクリート製の建物です。地上3階、地下1階の構造となっていて、様々な儀式などに利用できるよう設計されているとのことで、合理性と威厳の両方を兼ね備えた素晴らしい建物だと思います。


    徳川将軍家墓所


    zoujyouji_06


    zoujyouji_07 大殿の右側にある安国殿の裏に行くと、徳川将軍家の墓所があります。増上寺は、上野の寛永寺と並び徳川将軍家の菩提寺です。2代の秀忠、6代の家宣、7代の家継、9代の家重、12代の家慶、14代の家茂の6人の将軍達と正室、側室や子女などが眠っています。元々はそれぞれ又は合同の霊廟が増上寺の両側にあったのですが、戦災で焼けてしまい、一ヶ所に集められ、現在の形になったとのことです。
     墓所に着くと、まず重厚な「鋳抜門」に圧倒されます。6代将軍の家宣の霊廟の宝塔前にあったものとされています。墓所に入ると、左右に、将軍、正室、側室などの墓が、250年以上もの間隆盛を極めた徳川家の歴史とは裏腹に、静かに静かに佇んでいます。


    西向聖観音菩薩


    zoujyouji_08


    zoujyouji_09 将軍墓所と安国殿の横には、「千躰子育地蔵尊(せんたいこそだてじぞうそん)」と呼ばれる赤い帽子をかぶり、風車を持ったお地蔵様が並んでいます。子供の成長を願って、安置されているとのことです。そのお地蔵様の列が続く途中に「西向聖観音菩薩」のお堂があります。歴史は古く、この地に増上寺が移転してくる以前からあったということです。江戸三十三観音(※)の21番目の観音様ということで、御朱印もいただけるようです。


    ※江戸三十三観音
     昭和51年(1976年)に選定されました。以下の通りです。

    No お寺 場所
    1 浅草寺 台東区浅草
    2 清水寺 台東区松が谷
    3 大観音寺 中央区日本橋人形町
    4 回向院 墨田区両国
    5 大安楽寺 中央区日本橋小伝馬町
    6 清水観音堂 台東区上野公園
    7 心城院 文京区湯島
    8 清林寺 文京区向丘
    9 定泉寺 文京区本駒込
    10 浄心寺 文京区向丘
    11 圓乗寺 文京区白山
    12 伝通院 文京区小石川
    13 護国寺 文京区大塚
    14 金乗院 豊島区高田
    15 放生寺 新宿区西早稲田
    16 安養寺 新宿区神楽坂
    17 宝福寺 中野区南台
    18 真成院 新宿区若葉
    19 東円寺 杉並区和田
    20 天徳寺 港区虎ノ門
    21 増上寺 港区芝公園
    22 長谷寺 港区西麻布
    23 大円寺 文京区向丘
    24 梅窓院 港区南青山
    25 魚籃寺 港区三田
    26 済海寺 港区三田
    27 道往寺 港区高輪
    28 金地院 港区芝公園
    29 高野山東京別院 港区高輪
    30 一心寺 品川区北品川
    31 品川寺 品川区南品川
    32 世田谷山観音寺 世田谷区下馬
    33 目黒不動瀧泉寺 目黒区下目黒
    番外 海雲寺 品川区南品川

    熊野神社



    zoujyouji_10 ユヤ神社と読みます。元和10年(1624年)、熊野権現を増上寺鎮守として東北の鬼門に勧請したものとのことです。


    最後に


    zoujyouji_11


     増上寺の周囲には、東京プリンスホテルの駐車場近くに「有章院(7代将軍 家継)霊廟 二天門」があります。また、増上寺を挟んで反対側の芝公園側には「旧台徳院(2代将軍 秀忠)霊廟 惣門」があります。また、芝公園そのものにも「芝東照宮」や「芝丸山古墳」があり、見どころが沢山あります。時間があれば、是非足を伸ばしてみてください。

    zoujyouji_12

    zoujyouji_13


     


    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。

    Translate »