• 江戸を学び、江戸で遊ぼう

    北斎 冨嶽三十六景「尾州不二見原」
    北斎 冨嶽三十六景「尾州不二見原」(出典:ウィキメディア・コモンズ )

    最近の日本では10人に1人がフリーランス


    若い頃から独立してフリーランスとして働く、そんな人が増えています。最近では、日本の労働者の10人に1人がフリーランスだとも言われています。ある程度の規模以上の企業に属していれば、安定した収入が得られるという幻想が、2000年前後から見事に破られました。バブルの崩壊、 ITバブルの崩壊、そしてリーマンショックと10年サイクルで経済が急降下し、安定した会社、職業という幻想が破られて来ています。こんな時代だからこそ、自分の才覚や技能を頼りに独立する人が増えているのでしょう。


    江戸時代はフリーが付く職種ばかり


    江戸時代の町人はどうだったかというと、大店(おおだな)での奉公以外は、フリーターかフリーランスどちらかの働き方が多かったようです。ただ、現在とは、ちょっとようすが異なる部分がありました。今回は、そんな江戸のフリーランス事情に関してのお話です。


    さまざまな職人の世界


    江戸時代、職人に分類される仕事としては、出職(でしょく)と居職(いしょく)に分かれていました。出職とは、外に出て仕事をする大工や鳶(とび)などの建築関係の仕事を指します。一方、居職とは、室内で細工の作業を行う仕事を指します。武具を作る職人や桶や家具などの木を加工する職人を始め、蝋燭、 鍛治、鋳物なと日用品関連の職人、料理や菓子や髪結いなどサービス系の職人などさまざまでした。また、珍しいところだと、メガネ職人、カツラ職人、入れ歯職人とこんな時代から居たのかと驚くような職人もいました。


    親方の元での修行と独立


    彼らは、親方に弟子入りして修行を開始します。修行期間は、職種にもよりますが、だいたい10年ほどだったようです。10代前半で弟子入りして、家事なども手伝いながら、住み込みで働きます。そして、20代前半から中頃で一人前になります。今だと、高校や大学を卒業してからの20代前後から社会経験が始まりますので、昔は随分と早かったのですね。一人前になると、そのまま、雇われ職人になる者(サラリーマンのようなもの)も結構いたようですが、独立して親方から仕事を分けてもらい手間賃を得る者手間取り職人(今で言う下請けのようなもの)や完全に独立する者、日雇いや出稼ぎに出る者なども多かったようです。


    考えてもみてください。20代中盤で会社を飛び出して独立、今で言うフリーランスになるのです。簡単に得意先が見つかるわけではありませんので、当然なんの生活の保障はありません。しかし、彼らは修行元の親方から最初は仕事を分けてもらいながら、徐々に信用を得ていき、独り立ち出来るようになっていったのです。


    フリーランスの時代


    今ではどうでしょうか?私達には、江戸時代と比較すると遥かに教育制度が整っています。また、ネットをちょっと歩き回るだけでも、簡単に貴重な情報が入手できる時代となりました。従って、それだけで、江戸時代の修行に相当するまでは行かない面もあるでしょうが、経験の少なさをある程度補完できます。 また、最近ではクラウドソーシングも活発になっていて、フリーの仕事にも辿り着きやすくなってきております。なんだか親方に仕事を紹介しててもらうのに似てますね。このように、現在の世の中は、フリーランスがたくさんいた江戸時代に似始めてきています。アメリカでは4人に1人がフリーランスだと言われています。日本では先に述べたように10人に1人でまだまだですが、これからは自分の才覚に自身のある方がフリーランスとして、どんどん活躍できる時代が、もうそこまで来ているのだと思います。

     


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